全学共通教育での担当は「美術を読み解く」「芸術の見方(図像学A)」「東アジアの歴史と文化A」、他に教育学部で「美術史概論」「日本・東洋美術史」と総合探求で「絵と文学(つまり絵巻)」と「浮世絵」を担当しています。
美術作品の前に立ったとき、感動する以前に、この絵は何を意味するのだろうと首をひねってしまうことはありませんか?十字架のキリストだって、話を知らなければただの汚い死体にしか見えません。文化や宗教の違う国の作品や、日本でも古い時代の作品には知識がなければ意味がわからないものもあります。でも、意味がわかれば絵が語りかけたいことが伝わってきますし、さらに背景となる違う国や違う時代の文化も、その絵を通じて肌で感じることができるのです。
もともとの専門は日本絵画史、とくに寺社の縁起絵巻です。要は平安・鎌倉時代のお寺や神社のコマーシャルで、うちのお寺(神社)の仏様はこんな不思議な現われ方をしたのですよ、こんなにご利益がありますよということを、絵と文でどれだけインパクトたっぷりに伝えられるか、その工夫に注目してきました。こういう工夫は絵巻やご利益に限りません。浮世絵で幽霊や妖怪をいかに怖く見せるか、そんなことにも注目しています。
中学の美術の先生が、仏像オタクでした。修学旅行の前になると授業をほったらかして、椅子だけ持って教室の前方に集まって小さな写真を囲んで(その頃はパワーポイントなんてなかったので)仏像の話を聞きました。仏像の耳にピアス穴が開いているとか、踏んづけられている邪鬼もちゃんとふんどししているとかそんな話が面白くて、歴史の時間も教科書のグラビアの仏像や絵を眺めていました。美術の入口はそんなことでもよいのです。
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美術なんて、命にかかわることでもないし、一文の得にもならないかもしれません。でも、ちょっと知っていると、お皿の模様やカーテンの柄やコマーシャルのパロディや、世の中のあたりまえのことが、面白くなります。