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図書館の宝もの(山本陽子)

  • 2022年12月01日

明星大学に、世界でここだけにしかない宝ものがあるのをご存じでしょうか。場所は資料図書館、いつもの28号館ではなくて26号館の先の15号館、林の中のレンガ色の三階建ての建物。他とちょっと離れているのは、火事になっても類焼させない配慮なのか、それほど貴重な本たちは、奥のまるで銀行の金庫室のような鍵付きの書庫に納まっています。

シェイクスピアのコレクションは世界第二の規模で、なかでも有名なのが『シェイクスピア戯曲集』の初版本(この初版本については三上延『ビブリア古書堂の事件手帖7』に詳しく、あとがきに明星大学本のことも載っています)。もちろんシェイクスピアは翻訳でも芝居で見ても活字で見てもいいのですが、この明星大学本で面白いのは、ところどころに当時の持ち主の書き込みがあること。教科書に落書きしていた私はつい親近感を持ってしまいます。

明星大学所蔵『シェイクスピア戯曲集』初版本(ベニスの商人)の書き込み

英語も古本もいらないという人も、絵だけでも見たら楽しいのが江戸時代の絵本と絵巻のコレクション。義経や弁慶が活躍する『平家物語』・曽我兄弟が仇討のついでに頼朝の陣を襲う『十番切』・ご存じ『徒然草』・ホームレスの文正が出世して天皇の外戚になるという『文正草紙』。奇妙なのはこれほど華麗なのに、ほとんど読まれた形跡がないことです。おそらくこれらは大名家のお姫様の嫁入り道具として作られたもの、だから豪華なのでしょうが、嫁入りが済んだ後はずっとお蔵の中に忘れられっ放し、これでは本が気の毒です。そこで図書館ではときどき貴重書の特別展を開いて、いろいろな方面からの解説やビデオを付けたり、関連のイベントをしたりしてきましたが、コロナ禍でそれも難しくなってしまいました。

でも、がっかりしないで。これら話題の貴重書、自宅からでもスマホからでもオンラインで見ることができます。図書館のサイト下右の貴重書コレクションからでも、日本の本だけなら「絵本・絵巻の世界」で検索しても出てきます。絵だけ見たいなら、その中で「挿絵で見る平家物語」を選べば、簡単な解説付き(じつは私が解説を書きました)で全巻を挿絵で見られます。本物の金を絵具に使ってカラフルで美しいので、ダウンロードして便せんや年賀状に使うのもいいでしょう。せっかくの明星大学の宝ものです。下のサイトをのぞいて、清盛は、義経は、弁慶はどこかな、と探して遊んでみてください。

明星大学所蔵『平家物語』巻11 壇の浦合戦を前に義経と梶原景時がケンカ。どれが義経と弁慶でしょうか。

(シェイクスピア)書き込みについての研究 http://shakes.meisei-u.ac.jp/j-note.html

絵本・絵巻の世界 http://ehon-emaki.meisei-u.ac.jp/