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クレオパトラと淀殿(小林一岳)

  • 2024年01月07日

 新型コロナもようやく落ち着きをみせて、去年(2023年)はようやく趣味のオペラ通いを始めることができました。20回以上聴きにいくことができましたが、中で一番素晴らしかったのが、ヘンデルのオペラ「ジューリオ・チェーザレ」の公演。バッハ・コレギウム・ジャパンの演奏で、指揮は若き天才鈴木優人。バロック音楽をこれだけ生き生きと、しかも気品高く演奏できる指揮者は現在世界でもそういないと思います。
 ヘンデルといえば、小・中学校の音楽室で、厳しそうなバッハの肖像画の隣に飾られていました。バッハと比べると影が薄いですが、実は当時大人気のオペラ作曲家で、40曲以上のオペラを作曲し、ロンドンで大ブームを巻き起こしました。その最高傑作といわれるのが「ジューリオ・チェーザレ」で、一度は生で聴きたいと思っていましたが、ようやく聴くことができたわけです。
 ジューリーオ・チェーザレは、ジュリアス・シーザー(カエサル)のことです。古代ローマで三頭政治から台頭し、独裁政治を行った人物で歴史の教科書にも出てきます。一応このオペラの主人公ですが、本当の主人公はクレオパトラ。オペラでは二人の恋愛が描かれます。「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史も変わっていただろう」というのは、フランスの哲学者パスカルの言葉です。クレオパトラを演じ、歌ったのはソプラノの森麻季さん、素晴らしかったです。
 クレオパトラは、エジプト・プトレマイオス朝最後の女王として、滅びつつあるエジプト王国をなんとか守ろうとしてローマの有力者に接近し、失敗して最後は自殺することになります。日本史でこのクレオパトラとよく似ているのが、淀殿(淀君)。美貌で有名な信長の妹、お市の娘で秀吉の側室になります。そして滅びつつある豊臣家を最後まで守ろうとしながら、結局炎に包まれた大坂城とともに滅んでいくことになります。
 去年の大河ドラマの「どうする家康」の最終回が大坂落城。淀殿を演じたのが北川景子さんで、迫力のある素晴らしい演技でした。
 クレオパトラも淀殿も悲劇の女性として歴史に名を残しますが、それ以外にも歴史で多くの役割を果たした女性は数多くいます。そういえば今年の大河ドラマは紫式部ですね。
 写真は大坂(阪)城ですが、隣の大阪歴史博物館は、天守閣を見下ろすことができる隠れたビュー・スポットです。展示もいいので訪れたらどうでしょうか。