明星大学

全学共通教育委員会

つなぐ学び

Concept

ゲーテの色相環と「つなぐ学び」

人文科学と自然科学の結びつき/学問のつながりを体現するゲーテ

ドイツの文学者であり自然科学者でもあったヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(Johann Wolfgang von Goethe)は、いくつものスケッチや水彩画を残しています。この色相環は、ゲーテ自身が『色彩論』(1810年)に添えたカラー図版です。ゲーテにとって色彩は、人間の眼と事物の間で観察される一つの自然現象でした。

詩人ゲーテは、つねに広汎な視野をもち、彼の文学には独自の自然観が投影されています。その自然科学研究は、植物学、動物学、地質学、解剖学、気象学など多岐にわたります。彼が残した色相環の水彩画には、はみ出した色、塗りむら、完全ではない円を見ることができます。このような手描きのいびつさは、縛られない自由な発想を思わせ、偶然の筆圧による色むらは、各人の個性と多様性を象徴するかのようです。

色の感じ方が時と場合によって異なるように、人は常に変化しています。そうした中で、今まさにこの場で行われる学びをわたしたちは必要とするのであり、その時の出会いと気づきを大切にしたいと考えています。このような学びの機会は、リアルに目の前で起こる、かけがえのない複製不可能なものです。色彩に明確な境目がないように、学問分野に壁はなく、むしろ反響し合うことで新たな視点が生み出されていく、そういったわくわくするような可能性をこの色相環から感じ取ることができるでしょう。これから、どのように時代が進んでも、人と人とがつながることや人の手による感触は決して失われてはなりません。学び舎で語り合い、ともに思い出すことのできる時間を作る。明星大学全学共通教育のホームページ「つなぐ学び」が、みなさんの学びの橋渡しとなることを願っています。

ゲーテの色彩論と「つなぐ学び」

光と闇の中間にある「くもり」の部分に豊かな色彩は成立する。青、紫、赤、橙、黄、緑。青と黄は呼び合い求め赤となる。これはただ色が混ざったわけではなく、黄は橙を経て赤へ、青は紫を経て赤へ、それぞれが新たなエネルギーを得て力強い色、赤となる。ゲーテの色相環は、人が色を認識する方法を示しているだけでなく、色のつながりが新たな力を生み出すことを表しています。

無知と知の間にこそ豊かな学びがある。人は何も知らないものです。そして様々なことを知っていくことで人は豊かになっていきます。全学共通教育には、まさに知らないことを知り、人を豊かにする授業が揃っています。

また、全学共通の科目は様々なつながりを生み出します。外国語を学ぶことから世界とのつながりを、多摩について学ぶことから地域とのつながりを。そして教養を得ることと体を動かすことから人と人とのつながりを。こうして手にしたつながりは、新たに別のつながりへと向かっていきます。外国語を学ぶことが、外国の文化や歴史を学ぶことにつながり、多摩について学ぶことが社会について学ぶことにつながる。つながりの連鎖はみなさんに新たな発見や発想をもたらすことでしょう。知ることがつながり、広がり、そして深まっていく。これが全学共通の「つなぐ学び」です。

光と闇の間に豊かな色彩を見出し、色と色とのつながりが新たなエネルギーを生み出すとするゲーテの色彩論は、全学共通教育の「つなぐ学び」に相通じる部分があります。これがゲーテの色相環がこのホームページのモチーフとして使用されている理由です。