大学での勉強においては自らとは異なる者の内在論理を丁寧にたどっていく姿勢が重要になります。
カントを中心とした近代ドイツ哲学。および環境思想史、人間・動物関係論、社会思想史。人間、動物、自然、社会等のテーマについて、哲学と神学、哲学と人間学、倫理学と法学など、複数の学問領域が交わる場面を、思想史的手法から探究することを仕事としています。詳しく知りたい方は、拙著『エコ・テロリズム』、『カント「判断力批判」研究』、論文「カント『判断力批判』初期影響史」、「カントにおける天才概念の位置付け」などを参照してください。
他人が素通りしたり、拒絶反応を示す思想のなかで、それでも一本通っているはずの理屈を想定し、求め、それを文献ベースで再構成することに面白さを感じます。「他者」と出会う面白さと言ってもよいでしょう。カント、ラディカル環境思想、動物と扱う対象はそれぞれ異なっても、その点では一貫しているつもりです。
火曜5限(要事前メール)
大学で何かを学ぶにあたっては、いったん「自分の考え」なるものをカッコにくくり、読んでいる本、学んでいる言語、触れている文化などの内側で、いったいどのような理屈が動いているか?ということ、つまりそれらの「内在論理」に徹底的に身を委ね、集中することが大事です。自分のこれまでの常識や、使ってきた言語、住んできた社会の習慣からすると、理解しがたいもの、奇異なものであっても、まずは丸呑みしてみること、不思議な理屈で動いている世界もあるのだな、と受け入れてみることです。それには柔軟な心が必要です。この経験が、自分の住む世界が世界の全てではないということ、他者がこの世には存在しているということ、しかしそれでも世界の人々をつなぐ共通点や普遍性、理想が存在するかもしれないということを学ぶ、その入り口になります。ストンと腑に落ちるものではなく、むしろ落ちないものを大切にしてください。