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“絵本”クリエイターとして、今日この頃(清田洋一)

  • 2024年06月01日

 前回、このブログを書いてから2年ほどが経過しました。
 今回は、最近取り組んでいる英語絵本について書いてみようと思います。2023年の2月から、今年に至るまで、2冊の英語絵本を作成しました。さらに秋に3冊目も計画中です。まるで売れっ子絵本作家のようです。実態は違いますが。
 まず1冊目ですが、自分が勤務する明星大学の学生と共同で作成した英語絵本、“My Sweet Stories”です。スイーツ付きの猫が世界のスイーツとそのエピソードを紹介する物語です。この絵本の作成を作る背景は、次のようなことです。小学校の英語の教科書では多くの海外の題材が扱われていて,それらを知識的に学ぶ機会はあると思われますが、その反面,児童が言語と文化の関係を「自分ごと」として,深く学ぶ機会が十分ではないのではないかという問題意識です。
 これまで、私自身の科研で,「ミュージアムと連携した英語学習の研究」をテーマに取り組む過程で,ミュージアムの教育的なリソース,特にミュージアムの展示物の視覚的な情報が,外国語学習と異文化理解の学びに有効であると認識していました。絵本という表現メディアは,その物語が持つ言語情報と挿絵の視覚情報が効果的に組み合わされ,児童の興味や関心,特に感情に訴えて,効果的な文化の学びにつながる可能性があると考えています。
 これまで、さまざまな絵本を研究して、言語の学びと視覚情報が統合した学びが、外国語とその背景にある文化の統合的な学びに有効であると実感していました。“My Sweet Stories”は、複数の大学の教員養成課程や異文化理解を目的としたクラスで活用されて、使用した大学生や指導教官から好意的な評価を得ました。さらに、ミュンヘン大学の英語教育のクラスで使われたり、イタリアと日本の小学校で、国際的な共同学習にも活用されました。この本は好評で、増刷したので、興味ある方は声をかけてください。

 2冊目は、壁画アーティスト、 ミヤザキケンスケさんとの共同作成した“Over the Wall”です。この絵本は、自分が代表を務める高校英語教科書(コミュニケーション英語)の題材として、彼の国際的な壁画作成活動(活動名はOver the Wall)を取り上げたのをきっかけに、その個展を訪れるようになりました。彼の作品を鑑賞するうちに、共同で絵本を作成するアイデアが生まれました。今回作成した絵本は、ミヤザキ ケンスケさんの壁画作成活動 (Over the Wall)がテーマです。その活動のコンセプトは、「困難な状況の人々を明るい壁画の共同創作を通じて、勇気づける」ことにあります。彼の絵の持つパワーは、すでに多くの国の人々を勇気づけてきました。しかし、壁画は基本的に建物の壁に描かれて、その現場に行かないと鑑賞することはできません。彼の絵の持つ力が、もっと身近な物語としてより多くの人の心に、特に子供たちの心に響くことを期待しました。この絵本は、東京書籍から、今年の7月に刊行されます。興味のある方は、ぜひ手に取って、お読みください。