8月1日から15日までの2週間、出張でノルウェーの首都オスロに滞在しました。2023年4月から2024年3月までの1年間、サバティカルでオスロに住んでいたので、今回は2度目の滞在になります。
ノルウェーといえば「世界幸福度ランキングでいつも上位の国」「教育費がかからない」「医療費が無料」(実際は完全無料ではありません)といった、ユートピア的に語られる側面があります。けれど今日は、あえてそのイメージを覆すノルウェー事情を3つ紹介したいと思います。
1.物価が高い
これは周知のとおりですが、今回の滞在で改めて思い知らされました。ある日、オスロに住む友人2人とラーメンを食べに行く約束をしていたのですが、待ち合わせにだいぶ遅れてしまったので、お詫びとして私がご馳走しました。後日クレジットカードの明細を確認すると、ラーメン3杯と餃子1皿(5個入り)でなんと合計約13,000円。
また、ある夜にお腹が減ってケバブをテイクアウトしたら、1つ約2,800円。スーパーでホタテ4つ入りを買ったところ、3,000円近くしました。物価の高さはノルウェーの高福祉を支える要素ではありますが、ノルウェー人自身も「物価が高い」と感じており、外食は控えるなど、意外と質素に暮らしている印象を受けました。
2.交通違反の罰金が驚くほど高い
ノルウェー人の友人と車の話をしていたとき、「そういえば先日のスピード違反の罰金をまだ払っていない」と言うので詳しく聞いてみました。すると、法定速度からわずか8キロ超過で10分ほど走っただけで、罰金は約34万円とのこと。しかも、対処方法は「罰金を払う」か「2日間刑務所に入る」かの二択だというのです。あまりの金額に思わず、「刑務所に入ったほうが得なんじゃない?」と冗談を言ってしまいました。
3.娯楽が少ない
ノルウェーには、日本のように気軽に行ける娯楽施設(ボウリング場、ゲームセンター、カラオケ、居酒屋、テーマパークなど)がほとんどありません。では、ノルウェー人は何を楽しんでいるのでしょうか。例えば友人を家に招いて食事をする、ハイキングや登山に出かける、フェスティバルやフリーマーケット(秋になると各地で開かれる)に行く、長期休みには家族や親族で共同所有する「ヒュッテ」(日本語だと「山小屋」を意味しますが、ほぼ完全フル装備の「家」です)に行く―そうした過ごし方が一般的のようです。お金をかける娯楽よりも、親しい人と一緒に過ごす時間を大切にしているように感じます。
他国の大都市で暮らしてきた人からすれば、ノルウェーは一見「つまらない国」に映るかもしれません(実際、そのように話す外国人に何人も出会いました)。しかし、ノルウェーには他国にない圧倒的に美しい大自然や、徹底した労働環境の整備など、数えきれない魅力があります。
これからもノルウェーを訪れ、違いを発見し続けていきたいと思います。