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忍者は好きですか?(小林一岳)

  • 2021年11月01日

新型コロナで調査に行くことができなくて困ってましたが、幸い夏の終わりになんとか行くことができました。場所は三重県の伊賀上野。伊賀といえば忍者。町は忍者だらけで、伊賀上野城には忍者博物館もあります。

ところで、忍者は好きですか?最近では外国人に大人気ですが、私は大好き。子供の頃は忍者ブームで、漫画やアニメは忍者ばかり。伊賀の影丸・サスケ・ワタリ・カムイ・仮面の忍者赤影・風のフジ丸・忍者ハットリ君etc、現代物ですが忍者部隊月光なんかもありました。若いみなさんはNARUTOですかね。小学生の頃缶詰のフタ(昔は缶切りで開けました)で手裏剣作って遊んでいたら、学校で禁止になりました。戦国時代に興味持って、いまだに歴史研究なんかしてるのは間違いなく忍者の影響です。

戦国時代に伊賀と隣の近江国(滋賀県)甲賀との間で国境紛争をしたんですが、お互いが話し合いをして国境を決めたという史料があって、その関係調査をやってます。漫画やアニメでは伊賀忍者と甲賀忍者は仲が悪くて、伊賀忍者は正義で甲賀忍者は悪と描かれることが多いですが、喧嘩もしてましたが仲良くもしてたということですね。

研究ではこの忍者を惣国一揆といいます。地侍や百姓が一揆という同盟を結成して、地域を支配していたわけです。最近では彼らが各地の戦国大名に傭兵として雇われて、城を落としたりしてたことが明らかにされています。完全に漫画の世界ですよね。

これが気に入らなかったのが織田信長です。信長は甲賀を分裂させて支配し、伊賀は完全に武力制圧します。「根切り」と言われる、いわば殲滅です。信長にとって忍者は絶対に許せなかったわけですね。傭兵がいたら困るんでしょうね。私は信長は嫌いですね。

同盟で強力な国を作り、各地に傭兵を出していたのがヨーロッパではスイスです。最近、全学共通の上田耕造先生も参加しているアルプス研究会にお邪魔して、スイスと伊賀・甲賀の比較研究もやってます。忍者はグローバルな研究課題なんです。

写真は伊賀忍者の一人、沢村氏の屋敷です。夏の調査の時に撮影しました。完全に忍者の首領の屋敷でロケにも使えますね。屋敷跡は二重の堀で防御されてます。沢村氏は江戸時代に幕府に忍者として仕えたようで、いろいろな忍術書や忍者道具が残っているようです。今度ぜひ調査をお願いしたいと思っています。忍者について調べたら面白いですよ。

写真は伊賀忍者の一人、沢村氏の屋敷