3月に入り、梅の花と共に雪が舞った。積もる雪を見ながら春の到来は足踏みかと思わせたが、その後は気温が急上昇。桜の花が咲き始め、ウグイスも鳴きだした。そう、いよいよ春が到来したのである。春といえば咲き誇る花々、寒い冬の日々を過ごした人々の心を一気に解放してくれる。そんな浮かれ気分の一人が、何を隠そう私自身なのである。
私は東京郊外の片隅で植物を育てる自称ガーデナーである。まあ、言ってしまえばただの花好きである。昨年の秋に播種し、育ててきた菜の花や紫花菜が冬を経て可憐に咲いている。また、昨年の梅雨の季節に剪定をしたユキヤナギやボケなどの花木も咲き出した。昨今の気候の傾向なのか、複雑な寒暖差を繰り返す冬を乗り越えて、見事な花を咲かせていることに生命の偉大さを感じてしまう。更に、庭木の剪定をしていた昨年の梅雨の時期、草花の種を蒔いていた秋の頃を思い出し、あっという間に過ぎ去った時間を感じずにはいられない。などと感傷に浸ったことを書いているが、毎年同じようなスケジュールで庭作業をおこなっているので、昨年か一昨年かの違いを区別できているかは怪しい限りである。
庭の春に浮かれているのは私だけではない。花に惹かれて、小鳥たちや虫たちも賑やかである。桜の花の蜜がお目当てのメジロは枝から枝へと忙しない。ミツバチも花から花へと駆け回っている。ヒヨドリは、私が大事に育てたレンギョウの花を食べている・・・。花々に訪れる小鳥や虫たちも、春の訪れを全身で満喫しているのである。
近所を散歩する方々とも花々の話題で話が弾む。玄関先のビオラ、ワスレナグサやヒメキンギョソウに目を止めてくれる。花好きには堪らない、心躍る季節なのだ。どこそこの家ではこんな花が咲いているなどの情報が、花好きのネットワークから多々飛び込んでくる。我が庭にはない種類の花が咲いているとの話には、ワクワク感が止まらない。その度に「自分でも育てたい」と思うのだが、最早育てるスペースが庭にない現実に打ちのめされる。もう少し庭が広ければ・・・と欲望は際限ないのである。
季節の移ろいを花々と共に感じる生活、今年も楽しもう。
庭の花々、今年も満開