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京都は不思議な町(西村美香)

  • 2022年10月01日

 私は大学、大学院と学生時代は京都で過ごしました。京都といっても洛北は、京都御所のちょうど鬼門に当たる箇所に位置し、私が入学した時には、キャンパスの真ん中に広い荒地が放置されており、聞けばプールがあった跡地で、何人かが死亡したので埋め立てたとか。。。 学校のすぐ裏には心霊スポットで名高い(京都は心霊スポットだらけですが)狐坂があり、その坂途中にあるトンネルを抜けると赤ん坊の鳴き声がするとか。。。少し荒んだおとろしい大学でした。また私の通っていた大学は少し変わった大学で「蚕糸」というお蚕さんと生糸を研究する学科があって、大学校内中にお蚕さんの食される桑の葉がたくさん植えられていました。私は見てないのですが、ある研究棟(というか小屋)でお蚕さんがたくさん育てられていて、ある日、学生が小屋の施錠をせずに帰ってしまい、お蚕さんは外にある新鮮な桑の葉を求めてか、翌朝、大学にくるとそこら中にお蚕さんがまけ出て、虫嫌いの皆さんには恐ろしい状況になってたとか。。。

 また京都は千年も続く都なので、疫病とか災害とかも桁違いに多く、それら(+怨霊も)をおさめる祭りもたくさんあります。有名なのは祇園祭ですが、祇園さんは山鉾巡行だけでなく7月の1ヶ月間続く疫病(+怨霊)退散の祭りです。私は夜の河原町をうろついていると、どこともなく白装束の子供たちがぞろぞろて出てきてびっくりしたことがあります。やはり夜に四条河原町のあたりでこっそり(ではないでしょうが)神輿を鴨川につけて何やらしているのも見たことがあります(禊?)。京都ではこのようなことが日常的に行われているようです。6月の中旬頃からは神社の参道や結界に茅の輪が作られ、通学途中や通勤途中にあったもので「ほな、くぐっとこか」と來るべく夏の疫病に備えて無病息災を願ったり、6月30日には水無月という和菓子がそこかしこで売ってるので食べてました(夏バテ予防、邪気払い)。あまり意味も知らずに。

 そうして京都に住んでいた時や通っていた時は、折につけ、疫病や災害や怨霊などから身を守る行事が日常に溶け込み、知らずにそれらをやっていたように思います。それで何か身も心も幾ばくか守られていたような気がする、のは気のせいでしょうか?京都は不思議な町です。