明星大学

全学共通教育委員会

つなぐ学び

つなぐブログ

カレーの色:スリランカカレーの場合(内田富男)

  • 2025年08月01日

日本の現代文化としての「カレーライス(ライスカレー)」は給食、学食、こども食堂、家庭、キャンプ等の定番メニューで国民食と言えましょう。しかし、カレー文化の世界は宇宙のように広く、大洋の深海のように深いのです。異文化理解の入り口は食から。画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 画像1-1.png

とりあえず生成AIでカレー探訪をしてみましょう。もちろんAIの言っていることは必ずしも正確ではなく、情報量も限界があります。まず、プロンプト(指示文)を考え、入力します。「日本のカレーと世界のカレーについて200字程度の日本語の文章を書け。文末表現はである調で」。生成AI曰く、「日本のカレーは、明治時代にイギリスから伝わり、独自の進化を遂げた国民食である。とろみのあるルーとご飯を合わせるスタイルが特徴で、家庭料理から専門店まで幅広く親しまれている。一方、世界のカレーは多様性に富む。スパイスをふんだんに使った芳醇なインド・ネパールカレー、ココナッツミルクとハーブが香るタイのグリーンカレー、欧風の…、地域ごとに異なる食材や調理法が用いられ、その文化や歴史を反映している」(Google Gemini使用)

実際、異国のカレーを食べてみると、多種多様なカレーが存在し、カレーの定義を考え直す必要性に気づかされます。例えば、上の回答には含まれなかったスリランカのカレーに注目しましょう。スリランカカレーは豊かな色彩が特徴的です。インドのカレーとは異なり、スリランカ特有のスパイスを使い調理法も異なります。色合いの美しさはまるでスリランカの自然や文化、民族の多様性を映し出しているかのようです。

カレーというと「辛さ」が話題の中心になりがちですが、大事なことはカレーの色です。色合いは使うスパイスや調理法によって多彩に変化します。最も代表的なカレーの色は日本でもよく知られるウコン(ターメリック)の黄色で、スリランカカレーの主役はウコンです。鮮やかな黄色のチキンカレーやダル(レンズ豆)カレーは黄色が際立ち、スリランカカレーに欠かせない存在です。

スリランカカレー

赤いスリランカカレーもあり、赤唐辛子を使い、辛味が強いのが特徴です。海産物を使ったカレーに赤唐辛子が使われると、魚の白身の白とのコントラストが美しく、視覚的に食欲をそそります。日本でも最近、ある牛丼チェーンでデビルチキンカレーとして登場しました。また、スパイスやココナッツを深く焙煎すると黒褐色になります。ほうれん草やハーブ(パンダンリーフ、コリアンダー)を使用したカレーは緑色です。ココナッツミルクの白も欠かせません。

豪華版バナナリーフカレー

スリランカカレーは、色と香り、味わいが交じり合った芸術です。飲食店で提供される写真のような豪華版やバナナの葉で包んだバナナリーフカレーも定番です。スリランカカレーの主役は食材(野菜と魚、鶏肉)で、様々なスパイスで味付けをして栄養を摂取するわけです。スリランカカレーの色彩は、国の風土、気候、文化、人を象徴しているように感じられ、食べるたびにその土地とスリランカの人々の温かさや豊かさすら感じることができます。近年は在日スリランカ人の増加に伴ってスリランカレストランも増えていますので実食して、スリランカカレーの色と味を手食で楽しんでみてください。

スリランカ(錫蘭)・旧セイロンの基本情報:スリランカ民主社会主義共和国には、北海道の8割程度の国土に約2,323万人(東京都1,425万人)が住んでいる小国である。首都はスリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ(通称「コッテ」)で、最大の都市はコロンボである。公用語はシンハラ語、タミル語だが、英国領の時代が長かったため「連結語」として英語も話される。8つの世界遺産を有し、外国人観光客(特にドイツ、中国等)からの注目も高まっており、医療ツーリズム目的の日本人観光客も増えつつある。現在、日本とスリランカは安全保障やインド洋における海上保安分野において協力関係を強めている。 https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/srilanka/data.html#section1