大学で韓国語という語学を主に担当している私は、毎年、教室活動に新しいことを一つ取り入れることを続けています。例えば、毎回、学生が調べてきた韓国語のフレーズを皆で言ってみる、心に響く韓国語の短い名文を朗読する、着席せず教室内を動きながらの会話練習、自主的な学びを手助けするための自習用動画作成などなど。今年度は「ともに学ぶ」を授業で実践していますが、その一部を紹介したいと思います。
まず、「韓国語1B/2B」でのともに学ぶ授業実践です。
「韓国語1B/2B」クラスでは、「1A/2A」の教科書と連動して作ったワークブックを使って、毎週、「1A/2A」で習った文法や単語、表現を口頭で練習したり、それを応用した会話作成を主な授業内容としています。練習問題を事前に解いてくることが課題で、毎回9割以上の学生が予習してきています。授業では、事前に私の方で組んでおいたペアで座ってもらい、二人で単語や表現の意味を確認しながら、声を出して話す練習を繰り返しています。授業の最後に、練習した会話を全員が発表することにしています。毎回のペアは、できるだけ、学習レベルや性格、学部学科のバランスなどを配慮して組むことで、円滑にペアワークができるようにしています。もちろん、欠席者がいる場合は臨機応変に組み直しますが、学生同士は楽しく取り組んでいます。クラスには26名いるので、教員一人で全員の口頭練習を丁寧に指導することは難しいですが、今年度は、ボランティアで、韓国語上級者の3年生の一人と4年生の留学生一人、外部の韓国語教員1人が授業に参加してくれています。学生たちも気軽に発音や文法について質問したり、たまには楽しいおしゃべりもしながら、授業に取り組んでいます。特に、彼らの先輩である3年生の学生には、授業内で、本人の学習経験や学習方法、留学経験について話す機会を与えていて、後輩たちには良い刺激になっているようです。実際、彼女に刺激を受けて今度の留学プログラムに参加する学生もいます。このクラスでともに学ぶことで、人とつながることの喜びや学習意欲の向上のきっかけになれたら嬉しいと思っています。
次に、3年生以上クラスの「中級韓国語2」でのともに学ぶ授業実践です。
現在、このクラスには、9名の履修生と1名の聴講生がいます。皆、韓国語学習2年半以上で、簡単なやり取りができるレベルの学生もいれば、ネイティブ並みに韓国語が上手な学生もいます。
このクラスに、履修生全員の了解を得た上で、今学期から韓国人留学生5名が授業に参加しています。彼らは、お隣の大学に通っている留学生で、来日5年〜1年目の学部生ですが、皆、不自由なく日本語が話せます。たまたま、彼らが明星の学食(おいしくて安いとの評判です)を利用しているところを、私から声をかけたのが知り合ったきっかけです。授業を通して、日韓の同年代の学生同士が触れ合い、学び合う場を作りたいと思い、彼らに授業への参加を提案したところ、皆快く引き受けてくれました。授業では、日本の学生2、3人と韓国の留学生1人が一つのグループになって、予習してきた教科書の内容を練習したり、教員から出されたテーマについて、簡単なやり取りをする会話練習を行なっています。日本の学生は留学生に発音のチェックをしてもらったり、日頃疑問に思っていたことなどを聞いたりしています。また、留学生は、日本の学生の質問に日本語で上手く説明できないときは、日本の学生に日本語の表現や発音を教えてもらっていて、相互に良い学びを実践していることがうかがえます。授業では、個人の発表もありますが、韓国語での資料作成や発表練習に、教員のほかに留学生らのアドバイスも受けられて、非常に勉強になるとの感想を聞いています。彼らが授業を通して、母語と学習言語の違いや類似点に気づく、また、日本と韓国の大学生同士の考え方や価値観に触れることで相互を知る、理解する、さらには、ともに学ぶことができることを願っています。
今回ご紹介した授業実践は始まったばかりで、いろいろ課題もありますが、これからも、学生同士、先輩と後輩、韓国人留学生と日本人学生、教員と学生、のともに学ぶ場を作っていきたいと思います。